2019.10.28

久保建英は先発の座を取り戻せるか。
1対2に挑むのには理由がある

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 試合前のウォーミングアップが終わり、久保建英はボールをかかとで強く突いた。横にいた選手と何やら話しながら、ロッカールームへ向かう。勢いよく撒かれた水が飛沫となって光に反射し、背中に受ける日差しを淡いものにしていた。

 前節、レアル・マドリードに勝利したチームは、同じ先発メンバーだった。久保は控え組でのスタート。一度は先発の座を奪い取ったが、ここ2試合は途中出場に甘んじている。日本代表からスペインに戻ってきて、ひとつの試練を迎えているようだった。

 久保は失ったポジションを取り戻せるのか?

レガネス戦で後半14分から途中出場した久保建英(マジョルカ) 10月26日、ブタルケスタジアム。マドリードの郊外にあるレガネスの本拠地に、久保が所属するマジョルカは乗り込んでいた。レアル・マドリードに金星を挙げた余勢をかって、残留を直接的に争う相手との差をつけたかった。15位のマジョルカと20位で最下位のレガネスとの生き残りをかけた戦いだ。

 しかし、久保不在のマジョルカは前半、パスミスが続出。ボールを受け、マークをはがすことが誰もできないため、相手の守備を崩せない。際どいミドルシュートは1本あったが、ゴール前に近づけなかった。そして、左サイドの守備が脆弱さを露呈した。22分、コンビネーションで崩され、クロスボールを、ファーポストから入ったマルティン・ブレイスワイトに押し込まれる。

 後半になっても、マジョルカは反撃の流れを生み出せなかった。そこで後半14分、ようやくベンチが動く。ダニ・ロドリゲスと交代で、久保をそのまま右サイドアタッカーの位置に入れた。

 久保にとっては、FC東京や日本代表でも担当してきたポジションと仕事に近い。逆足(サイドとは逆の利き足でプレー)で多くのプレーに関与。ボールを晒しながらドリブルで抜け出し、コンビネーションを使い、なによりフィニッシュを視野に入れることができる。久保は投入された早々、何度もボールを呼び込もうとしていた。

 ところが、いいポジションをとっていても、パスは入ってこなかった。久保が見えていないのか、出す技術がないのか。裏を狙って走っても、サイドに張っても、インサイドでギャップに入っても、久保は孤立していた。