久保建英へシャビ・アロンソからの助言。「才能は間違いなくある」
「2年間のレンタル期間を楽しもう!」
「いや、この調子だと『1年で返せ』って言われるかもしれない」
「9月のリーグMVPの活躍だったしな」
レアル・ソシエダのクラブハウス。関係者が、レアル・マドリードから2年間レンタルしているノルウエー代表の攻撃的MF、マルティン・ウーデゴールについて議論を交わしていた。左利きのファンタジスタ、ウーデゴールは開幕からレアル・ソシエダを牽引し、チームが首位争いをする立役者に。非凡なセンスは、レアル・マドリードが将来を見込んだだけのことはある。
しかし、2人に割り込むように、もうひとりが言った。
「忘れるな、マドリードで活躍するのは簡単なことではないぞ」
2人は神妙にうなずいた。
<レアル・マドリードでポジションをつかみ、王者の一員となる>
それは多くのサッカー選手にとって至高の夢だ。日本代表の久保建英はレンタル先のマジョルカで活躍を遂げ、レアル・マドリードに戻って、その名を世界に轟かせることができるのか。
前節レアル・マドリード戦は後半14分からの出場だった久保建英(マジョルカ) マジョルカは、地中海にぽっかりと浮かぶ島だ。気候は1年をとおして比較的、温暖。ドイツ、オランダ、フランスから多くの外国人が太陽を求めて訪れ、そのまま移住するケースも少なくない。島の中心部は完全な観光地で、むしろ外国人の方が多いだろう。
筆者はそのマジョルカで、かつて大久保嘉人(ジュビロ磐田)、家長昭博(川崎フロンターレ)の戦いを追い続け、克明に描いている。
街並みは当時とほとんど変わっていなかった。海岸通りは静かで、無数のヨットが停泊し、街中は騒がしく、どこかで音楽が流れて、嬌声が聞こえた。前日までいたマドリードは、夜になるとコートが必要なほどだったが、島の日差しは夏のようだった。
カフェテリアに入って、現地紙『Ultima Hola』を手に取る。週末、マジョルカの敵地でのレガネス戦についてページを割いていた。
トピックは、クラブが試合用ポスターに両チームでプレーしたサミュエル・エトーを採用したことだった。「黒人のように走り、白人のように暮らす」というエトーの有名な台詞をもじって、「2部リーグのように戦い、1部リーグのように暮らす」という文句で、"決戦"を煽っていた。
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