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バルサは立ち直れるか。大逆転の連続のCLを達人が徹底的に語り合う (5ページ目)

  • photo by Getty Images

中山 本来なら、今回の敗退は原点回帰するきっかけにはなるべきなのに、たしかにそのような雰囲気は感じられないですね。

小澤 しかも、現在バルサのカンテラは崩壊状態なので、選手が下からトップチームに上がってこられるような環境、レベルにもありません。たしかにシャビやアンドレス・イニエスタのようなレベルの選手は数十年に一度出てくるかどうかですが、トップチームが外から選手を買ってくるような方針に舵を切ってしまうと再びカンテラを整備するのにはそれこそ10年単位の時間がかかってしまいます。監督としてのシャビの復帰を求める声は大きいですが、それだけでは今バルサが失っている哲学、本質を取り戻すことはできないと見ています。

倉敷 育成がうまくいっていない、フロントの選手獲得には失敗が多い。ここ数シーズンは、そんな状態から抜け出せないでいますね。

中山 最新のデロイト社「フットボール・マネー・リーグ」の統計でも、バルサはレアル・マドリーに次いで世界2番目の売り上げを誇るほどですから、どうしてもビジネス面が優先されてしまうのでしょうね。かつてのバルサは、お金を儲けるという方針とは対極にいたはずのクラブだったのに、近年は完全にビジネス主義。カンテラの整備よりも、稼いだお金を使う方にエネルギーを注いでいるように見えます。お金は人を変え、クラブまでも変えてしまった、ということでしょうか。

小澤 少し前まではユニフォームの胸スポンサーをつけるかどうかで議論になっていたクラブが、ユニセフだからというエクスキューズで胸にスポンサーを入れてワンクッションはさんで、すぐにカタール財団、そして現在は楽天ですから。時代は変わりました。バルサは来年の夏に会長選挙を控えているので、そこで新会長候補が監督にシャビを立てて当選し、原点回帰の方向に流れを持っていくというくらいしか現状の打開策は見えません。

倉敷 勝ち上がったリバプールについては決勝展望の場でたっぷりと。さて、次回はもうひとつの準決勝についてですが、こちらも驚かされた一戦でした。現代はVARに代表されるテクノロジーでディテールを見つめようという時代ですが、まるで魔法のような出来事が連続して起こったことに、何かフットボールの揺り戻しを感じます。「何を小さいところを見ているんだい? 僕はそんな小さな器じゃ収まらないよ」と、フットボールがニヤっと笑った気がしたのです。最新のテクノロジーでさえ吹き飛ばす迫力、やっぱりこの競技は奥が深いですね。

 次回は、もうひとつの大逆転劇に話題を移し、スパーズの前に散ったアヤックスに注目してみたいと思います。

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