2019.05.29

チェルシー監督就任の噂も。
ランパードが指揮官としても才能を発揮

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 試合終了のホイッスルが鳴ると、プレミアリーグ昇格を決めたアストン・ビラの選手たちは喜びを爆発させた。

 5月26日、サッカーの聖地ウェンブリー・スタジアムで行なわれたチャンピオンシップ(イングランド2部)プレーオフ決勝。アストン・ビラがダービー・カウンティを2−1で下し、来季プレミアリーグ行きの切符を掴んだ。

就任1年目でダービーをプレミア昇格寸前まで導いたランパード監督 アストン・ビラの大ファンで知られるイギリス王室のウィリアム王子もウェンブリー・スタジアムに駆けつけ、勝利に拳を固めてガッツポーズ。スタジアムでは4季ぶりの1部昇格を決めたアストン・ビラのサポーターの大声援が鳴り響き、クラブカラーの「えんじ・青」のフラッグが揺れた。

 一方、ダービーのフランク・ランパード監督は肩を落とした。ピッチに倒れ込む自軍の選手たちに声をかけていくと、ゴール裏に陣取るダービー・サポーターに拍手で感謝を示した。こうして、ランパードの監督挑戦1年目は幕を閉じた。

 ランパードが英2部のダービーの監督に就任したのは、約1年前の2018年5月31日。MLSニューヨーク・シティとの契約終了後、2017年2月2日に現役引退を表明してから約1年4カ月後のことだった。

 監督経験のないランパードが抜擢されたという一報は、英国でも少なからず驚きをもって伝えられた。しかし、招聘理由についてダービーのメル・モリス会長は、「フランクほどの実績を持った選手は、このクラブにいない。フランクは真の勝者であり、成功を掴むために何が必要かを知るリーダーでもある。偉大な指揮官になるための素質とカリスマ性を備えている」と、クラブ首脳陣が満場一致でランパードの起用を決めたことを明かした。

 そして、この1年でランパードは自身の哲学をダービーに落とし込みながら、クラブ首脳陣の期待に応えていった。

 ランパード監督の志向を簡単に要約するなら、縦に速く、球際では激しいインテンシティの高いサッカー。それでいて、時間帯によってはボールを保持して厚みのある攻撃も奏でる。チェルシー時代の恩師ジョゼ・モウリーニョ監督のスタイルを踏襲しつつ、MF出身の自身のエッセンスも多分に加えている印象だ。