佳境のCL。4強のUEFAランキングと「マネーリーグ」順位は? (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 昨季のCLファイナリストであるリバプールは、前年の9位から順位をふたつ上げて7位となった。前シーズンから9060万ユーロ(約11億円)の増収はトップ10で最高で、総収入は5億1370万ユーロ(約640億円)。やはりその最大の要因はCL決勝進出にあり、放映権収入は1位のレアルと同じ2億5130万ユーロ(約315億円)で、全体の約半分にあたる。

 オーナーは、ヘッジファンドで莫大な財を成したアメリカのジョン・W・ヘンリーが率いるフェンウェイ・グループ。2010年にクラブを手中に収めた彼らが安定した経営基盤を築き、昨シーズンには世界記録となる1億600万ポンド(約150億円)の利益を計上している。ここ2年で、モハメド・サラーやフィルジル・ファン・ダイク、アリソン・ベッカーといった現スクアッドの主力を次々に獲得し、着実に成績を上げているのも、フロントの的確な判断によるところがある。

 4億2830万ユーロ(約533億円)を記録したトッテナムは、前年からひとつランキングを上げて10位に。新たなホームスタジアムを建設している間、ホームゲームを収容人数の多い聖地ウェンブリーで開催したことにより、マッチデーの収入が7550万ポンド(約11億円)と1.5倍以上増加している。投資家のジョージ・ソロスの盟友でもある英国人ビジネスマン、ジョー・ルイスがクラブ最大の株主だが、実際に運営を任されているのは彼の右腕、ダニエル・リービー会長だ。タフな交渉術でも知られるリービーは、新スタジアムの建設費がかさむことも見込んで、今オフには新戦力をひとりも獲得しなかったが、チームは周囲の予想に反してCL4強入り。「サステイナブルな経営」をモットーとする会長は、今やプレミアリーグで誰よりも重要な英国人とも評されるほどだ。

 そして、アヤックス──もっとも特筆すべきクラブだ。『マネーリーグ』は20位までのクラブを紹介し、21〜30位のクラブは名前と収益額だけを掲載しているのだが、このオランダの名門は圏外だった。クラブが公表している年間総収入は1億427万ユーロ(約130億円)と、バルセロナの6分の1に満たず、プレミアリーグで残留争いに巻き込まれているブライトン(同1億5740万ユーロ/約196億円)にさえ、大きく差をつけられている。

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