色気のあるプレーに拍手喝采。オランダ代表は正しい道を進んでいる (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 だが、個人的には、「このチームにとって必ず一度は経験すべき敗北だった」と捉えている。

 前半にドイツの前線3人が繰り返したポジションチェンジに翻弄されたオランダは、ハーフタイムにそれをしっかりと修正し、後半のほとんどの時間帯をドイツ陣内で戦う「ハーフコート・フットボール」を展開した。試合の流れはオランダへと傾き、ピッチ上で戦う選手たちには「勝てる」という自信が膨らんでいたはずだ。

 しかもオランダ人には、伝統の「攻撃サッカーの血」が流れている。他国のサッカーセオリーが通じないのが、オランダサッカーの弱さでありながら、強みでもある。だから、クーマン監督が試合中に頭の片隅で「引き分け狙いに切り替えよう」と思いながら、ベンチから立てなかったのも、また道理なのだ。

 オランダにとって今回のドイツ戦は、とくに前半の戦いぶりに反省の残る結果となった。だが、後半のパフォーマンスからは、「今のオランダは正しい道を進んでいる」と確信することもできた。だから負けても、ヨハン・クライフ・アレーナの観客席からは大きな拍手が沸いたのだ。

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