板倉滉のマンC移籍を考察。レンタル先がフローニンゲンなのは好材料 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 実際、マンチェスター・Cは昨年12月にMLSコロンバス・クルーのアメリカ代表GKザック・ステッフェン(23歳)を700万ポンド(約10億円)で獲得。今後半年間はコロンバス・クルーにレンタルし、今年の夏に加入する予定だ。獲得金額は異なるが、彼も板倉のケースと同様に、ヨーロッパ以外の地域から青田買いされた格好である。

 もっとも、チェルシーやアーセナルに代表されるように、プレミアリーグのビッグクラブがまだ世界的に名前の知られていない有望株を青田買いする例は多い。日本人では、アーセナルに移籍した稲本潤一(2001年)や宮市亮(2010年)、最近では浅野拓磨(2016年)が青田買い移籍でイングランドに渡っている。

 ただし、いずれも移籍先のアーセナルでは活躍できていないという、日本人選手にとっての厳しい現実もある。

 たとえば、ガンバ大阪からのレンタル移籍でアーセナル入りした稲本は、結局リーグ戦に出場できないまま、翌年に同じプレミアリーグのフラムに再びレンタル移籍。就労ビザの規定を満たしていなかった宮市は、オランダのフェイエノールトで半年間のレンタルでプレーした後に復帰するも、出場はリーグカップ2試合の出場のみ。

 宮市はその後、ボルトン(イングランド)、ウィガン(イングランド)、トゥウェンテ(オランダ)とレンタル移籍を繰り返し、2015年に完全移籍で現在所属するザンクトパウリ(ドイツ)に活躍の場を移している。度重なる故障がなければ異なる道を歩んだと思われるが、アーセナルというビッグクラブで成功できたかどうかはわからない。

 また、現在アーセナルに所属する浅野も、就労ビザの関係で即レンタル移籍。初年度こそシュトゥットガルト(当時ドイツ2部)で結果を残したが、1部に昇格した昨シーズンは出場機会を減らし、3年目の今シーズンもレンタル先のハノーファーで苦しんでいる。

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