名門モナコが迷走中。名将解任後にアンリを招聘も降格圏に沈む (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 もちろん、主力の引き抜きに遭うことは、もはやモナコにとっては毎夏の恒例行事。実際、DFバンジャマン・メンディ(マンチェスター・シティ)、MFベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、MFティエムエ・バカヨコ(チェルシー/現ミラン)、FWヴァレール・ジェルマン(マルセイユ)、そしてキリアン・ムバッペ(PSG/初年度はレンタル移籍)を失った昨シーズンも、最終的には2位となってチャンピオンズリーグ出場権を確保することに成功している。

 しかし今シーズンの場合、当時の主力大量放出がボディブローとなっていたことに加えて、チームの絶対的バランサーであったファビーニョを引き抜かれてしまったことが決定打となった。近年の黄金期を築いたレオナルド・ジャルディム前監督のサッカーを知り尽くし、若手とベテランのつなぎ役としてチームを支えていた大黒柱が果たしていた役割は、それほど重要だったのだ。

 ただ、それでも「ジャルディムの手腕があれば必ずチームは再建される」と楽観視されていたのも事実だった。ところが、開幕前から故障者が続出。入れ替わり立ち替わりで主力が欠場する事態が続いたことが、名将ジャルディムを窮地に追い込んだ。

 10月7日の『レキップ』紙は「モナコは5大リーグでもっとも多くの選手がW杯に出場しているクラブ」という見出しで記事を掲載。クロアチアのW杯準優勝に貢献したGKダニエル・スバシッチをはじめ、DFジブリル・シディベ、FWステヴァン・ヨヴェティッチ、MFロニー・ロペス、MFアダマ・トラオレ、DFアンドレア・ラッジほか、新戦力のMFアレクサンドル・ゴロビン、FWピエトロ・ペッレグリといった主力選手の故障が相次ぎ、ジェルディムは1試合平均で6人の選手を使えない状態にあった。その結果、9試合で計27人もの選手を起用せざるを得なかったのだ。

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