無敗がストップした新生スペイン代表。常に抱える「危うさ」の正体 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Reuters/AFLO

 着目すべきは、ロシアW杯メンバーから外れるなど、これまでくすぶっていた選手たちが躍動している点だろう。たとえばFWのパコ・アルカセルは、バルサでくすぶっていたが、ドルトムント移籍後の活躍を再評価されて招集され、新体制で3得点を挙げている。

「チーム内は活性化し、とてもいい雰囲気だ。監督は選手に信頼を伝え、モチベーションを上げてくれる」

 やはりロシアW杯後に抜擢されたスソ(ミラン)が現状を語る。

 エンリケは人材を広く求め、その力を引き出しつつある。代表歴の乏しい若手のホニー・カストロ(ウォルバー・ハンプトン)、ホセ・ルイス・ガヤ(バレンシア)、ロドリ(アトレティコ・マドリード)、セバージョスを重用する一方、代表から離れていたベテラン、ラウール・アルビオル(ナポリ)を呼び戻した。年齢や経歴に分け隔てなく、旬の選手を選び、競争力を高めている。

 悪くない滑り出しのスペインだが、危うさもはらんでいる。今年10月、敵地で1-4と快勝したウェールズ戦直前に、「パネンカ」というサッカー専門誌に掲載されたインタビューが話題になった。

「スペインを代表する責務を感じなかった。むしろ、そのことに対する拒否感があったし、嫌悪感すら覚えた」

 2005年に代表合宿に呼ばれたものの"辞退"した、オレゲル・プレサスが当時の胸中を暴露したのだ。

 オレゲルはバルセロナのレギュラーとして、センターバックでカルレス・プジョルとコンビを組み、欧州を制覇し、スペイン王者にもなった。必然的にスペイン代表に選ばれたが、結局はプレーしていない。当時、代表を率いていたルイス・アラゴネス監督と面談を行ない、ストレートに思いをぶつけた結果だ。

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