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無敗がストップした新生スペイン代表。
常に抱える「危うさ」の正体 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Reuters/AFLO

「スペイン代表にいることに、居心地の悪さを感じた」とオレゲルは明かしている。

「代表には興味が湧かない。EURO(欧州選手権)もワールドカップも試合を観ないよ。こうした発言をすることで、かつては自分がアイコンのように扱われることがあったし、一方で憎まれることもあった。でも考えはずっと同じだし、何を言っているかも承知しているつもりだ」

 スペインは複合民族国家である。たとえばバルセロナを州都にするカタルーニャには、独自の文化、言語があり、フランコ独裁政権時代には迫害、弾圧された歴史がある。現在も、カタルーニャは独立に向けて運動を続けており、カルラス・プッチダモンのような指導者も現れた。独自に国民投票を行なって独立の賛同を得るなど、スペイン政府とは対立関係にある。

 サッカーのスペイン代表もこうした政治の影響を受ける。そもそもバルサの存在意義のひとつは、スペインに対する反逆だった。スペイン代表の一員になることは、今も矛盾をはらむ。カタルーニャ人ジェラール・ピケ(バルセロナ)が、国内での代表戦でブーイングを浴び続けたのは異常な事態だろう。

 その分断こそ、かつては「スペインが勝てない理由」に挙げられてきた。選手の信望が厚かったルイス・アラゴネス監督がチームを結束させ、EURO2008で優勝したことで、成功の扉を開いたが、根っこの部分は変わっていない。

 カタルーニャだけでない。ビルバオやサンセバスチャンのあるバスクでも、独立運動は続けられてきた。FIFA未公認ながら、バスク代表は活動を続ける。10月にはスペイン代表と並行してベネズエラ代表と一戦を交えたが、ここでも一悶着あった。スペイン代表の招集をケガを理由に回避していたバスク人イニゴ・マルティネス(アスレチック・ビルバオ)が、バスク代表の招集には応じ、先発出場したのである。

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