2018.08.31

世界トップクラブのレギュラーだらけ。日本代表が負けたベルギーの魅力

小澤 そうですね。後者のなかでも、今大会で見た時には屈指の監督だったのではないでしょうか。戦況、あるいは相手の分析をきちんとしたうえで、緻密に作り込んできましたし、それに対して相手が対応してきた時にはプランB、Cを矢継ぎ早に打てるというところでいうと、監督としての手腕は今大会であらためて再評価されてしかるべき監督だと思います。

倉敷 スペースに侵入していくためのポゼッションについて、ベルギーを例に話しましょう。小澤さん、ポゼッションという言葉の持つ意味は、これからどう考えていくべきでしょうか。

小澤 そうですね。今回のスペインがいちばん悪い例ですが、ボールの前進がない、あるいはボックス侵入の目的ではない、ボールを持つためのポゼッションというところでいうと、もはやポゼッション自体がまったく意味をなさないですね。結局、スペインはロシア戦でも1,000本以上のパスを回して、まったくゴールチャンスを作れませんでしたから。

 その意味でいうと、ベルギーは縦の鋭さ、カウンター攻撃、ロングカウンターも含めて、ボールを持ちながらディフェンスラインの3バックの幅を広げて、まずビルドアップからひとつひとつボールを前進させることもしていました。

 きちんと攻撃の幅と深さの両方を取りながらボールを運んでいくので、現在のトレンドのキーワードとしては、ポゼッションよりも「プログレッション」というワードが出てくると思います。つまり、ボールの保持ではなく、前進というところがキーワードになるのではないかと。今回のベルギーが、まさにそうだったと思います。

倉敷 中山さん、ファイナルに近いところに勝ち上がっていったチームは、いい選手を所属クラブと同じポジション、同じタスクを与えることができていた特徴があると思いますが、ベルギーの場合はどうでしたか?

中山 たとえばケヴィン・デ・ブライネは、当初は中盤のセンターの低い位置でプレーしていましたけど、やはり彼の特長が出るのはもっと前のポジションだと言われていました。実際、それが最大限に発揮されたのがブラジル戦のゼロトップのような使い方だったと思います。あれは、監督が彼の特長を生かした采配だったと思いますし、あの起用によって完全にブラジルは調子が狂ってしまいましたから。そういう点でも、監督がそれをうまく引き出せるかどうかが大事ですよね。

倉敷 小澤さん、マルティネス監督はここ数年間でヨーロッパの監督が使っていたアイデアをいくつも上手に落とし込んでいましたね。