通好みの「中盤力」でフランスが勝利。それでも不安が漂うのはなぜか (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 フランスはベルギーに勝利し、2006年ドイツW杯以来、3大会ぶりの決勝進出を決めた。7月11日に行なわれるイングランド対クロアチア戦の勝者と、7月14日、モスクワのルジニキで、自国開催だった1998年W杯以来の優勝をかけて戦うことになった。

 しかし、これまでの6試合で、優勝候補の本命に相応しいサッカーを披露してきたかといえば、答えはノーだ。準々決勝、準決勝で挙げた3ゴールはいずれもセットプレー。流れの中からは奪えていない。まだ全開とはいかないのか。あるいはこれが限界なのか。前者だとすれば、決勝は危ない。本命フランスには、もうワンランク上のプレーが望まれる。

 2年前、自国で開催されたユーロ2016を想起せずにはいられない。試合内容はいまひとつながら勝ち上がってく経緯は、今大会と似ている。そして、決勝では、絶対有利と言われながら、クリスティアーノ・ロナウドを前半早々に負傷で欠いたポルトガルに、まさかの敗北を喫した。

 受け身に回ると、今度こそやられそうな気がしてならないのだ。フランスに望まれるのは、優勝候補の本命に相応しいサッカーだ。現状のフランスに優勝されては、大会は締まらない。ロシアW杯はいい大会だったとはいえなくなる。大会をフルに取材した者にとって、これは歓迎できない話になる。

 フランスには、いいサッカーを披露して、大会をきれいにまとめてほしいものだ。

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