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アルゼンチン代表がW杯前に
トホホ状態。イスラエル戦中止で大騒ぎ 

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 W杯を目前に控え、各国とも最終調整に余念がないなか、アルゼンチンが予定していた大会前の最後の練習試合、イスラエル戦が突然、取り消されるという事件が起こった。

メッシをはじめアルゼンチン代表はバルセロナで合宿中 photo by Getty Imagesメッシをはじめアルゼンチン代表はバルセロナで合宿中 photo by Getty Images そもそも不可解なのは、アルゼンチンがなぜW杯前の対戦相手にハイチとイスラエルを選んだのかということだ。ハイチは現在FIFAランキング104位、イスラエルは93位である。アルゼンチンほどの強豪ならば、対戦したいチームは星の数ほどあっただろう。練習試合といえども、W杯を見据えての大事な試合だ。例えば、ブラジルはクロアチア、ポルトガルはベルギーというように、どのチームも少なくとも1試合はW杯出場国、もしくは同程度の強敵と戦っている。

 イスラエルに関しては、アルゼンチンサッカー協会にはある思惑があった。

 1986年、ディエゴ・マラドーナ擁するアルゼンチン代表はエルサレムに行き、イスラエル代表と親善試合を戦った。選手たちはキリストの聖地を巡った後、そこから直接W杯が開催されるメキシコに飛び、世界チャンピオンに輝いた。

 今回のイスラエル遠征でも、86年と同じ行程が組まれていた。つまり"ゲンを担いだ"というわけだ。しかし、そのゲン担ぎが今回は思わぬ事態へと発展してしまった。

 順を追って、ことの経緯を振り返ってみよう。

 イスラエルでもサッカーは非常に人気が高い。ただし代表チームとなると、過去に1度W杯に出場したことがあるだけ(1970年)。今大会も出場を逃してしまった。落胆したサポーターに、イスラエルサッカー協会はあるプレゼントをすることにした。アルゼンチンとの親善試合である。

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