欧州サッカーで増えた大量ゴール。誘発する「ストーミング」とは?

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】欧州サッカーの新たな潮流(前編)


 ワールドクラスのフットボールが、大きな変化の波に襲われている。
 
 今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦でリバプールがローマに5-2と大勝した試合は、その事実を裏づけるものだ。フットボールは新たな戦術の時代に入りつつある。攻撃陣のプレスが非常に速くなり、「ストーミング(嵐のような急襲)」とでも呼ぶべきものになった。

 ここ最近、重要な試合で多くのゴールが入るケースが目立つのは、このためだ。同時に、ジョゼ・モウリーニョのような監督が、いまひとつさえない理由でもある(この点は後に詳しく触れる)。

準決勝では2戦合計7対6の乱打戦でローマを下したリバプール photo by AFP/AFLO準決勝では2戦合計7対6の乱打戦でローマを下したリバプール photo by AFP/AFLO

 ストーミングを明らかに実践しているのは、リバプールだけではない。ボールを失った瞬間から相手ディフェンスにプレスをかけ、敵のゴールに近い位置でボールを奪取しようとする「ゲーゲンプレッシング」(ドイツ人はこう呼ぶ)は、広がる一方だ。

「ゲーゲンプレッシングほど、効果的に試合を左右する戦術はない」と、リバプールのドイツ人監督ユルゲン・クロップはよく言う。ストーミングがしっかり機能すれば、大量得点につながる可能性がある。

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