欧州サッカーで増えた大量ゴール。誘発する「ストーミング」とは? (5ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 だが今の選手たちは、以前では考えられなかった頻度とペースでストーミングを行なうだけのフィットネスを身につけている。イエーテボリ大学(スウェーデン)の研究チームが昨年発表した報告によれば、プレミアリーグではゲーム中の「高集中ランニング」が過去10年で50%増えた。

「現在のトップクラスのフットボールにみられる特徴は、高集中ランニングを行なった後に、大幅にテンポを落としてプレーすることだ」と、イエーテボリ大学研究チームの報告書にはある。

「1~5分の高集中ランニングを繰り返し、その後はほとんど負荷のかからないプレーを5分ほど行なう。つまり選手の試合中の活動レベルは、2つの極端な動きに分かれる傾向にあり、以前のように試合がほぼ一定のテンポで進むことが減っている」

 ストーミングを行なうチームでは、ウィングバックが積極的に攻撃に参加する。このとき、センターバックを3人置いてカバーするチームもある。

 ストーミングでのMFの仕事は、高い位置でボールを奪い、FWに供給することだ。今季のCLでリバプールのジェームズ・ミルナーが最多アシストを記録している理由はここにある。ミルナーはボールを奪うのはうまいが、ゲームを組み立てるタイプではない。リバプールが3-0で勝ったマンチェスター・シティとの準々決勝第1戦。彼がルーズボールを奪って送ったパスから、アレックス・オックスレイド=チェンバレンが決めたミドルシュートを思い出すといい。

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