酒井宏樹、日本人2人目の欧州タイトルを
獲り逃がすも「不満はない」 (2ページ目)
それでも、マルセイユは早く激しいボールへの寄せでアトレティコの攻撃を封じ、奪ったボールを的確につないでゴールへ迫った。一度攻撃を止められても、出足よくセカンドボールを拾って連続攻撃につなげることもできており、完全に試合の主導権を握っていた。何より、激しく相手選手に襲い掛かっていく姿に、タイトル獲得への執念が感じられた。
ところが、落とし穴は思わぬところで待っていた。
21分、自陣からボールをつなごうと、GKスティーブ・マンダンダがフリーのMFアンドレ・ザンボ・アンギサへパス。何でもないプレーだったが、これをザンボ・アンギサがトラップミス。大きく足から離れたボールを拾ったアトレティコのMFガビがFWアントワーヌ・グリーズマンへパスを通すと、エースストライカーは難なくゴールを陥れた。
攻勢に試合を進めていた時間でのミスによる失点は、マルセイユの選手に大きなショックを与えた。しかも、弱り目に祟(たた)り目というべきか、失点を境に明らかに勢いを失ったマルセイユは前半途中にして、キャプテンであり、攻撃の中核を担うパイエを負傷で失う。
これをきっかけに、完全に試合展開は180度転換。アトレティコがボールを支配するばかりで、マルセイユはまともにパスをつなげない一方的な展開のなか、アトレティコは効果的に追加点を重ね、勝負を決めた。アトレティコのディエゴ・シメオネ監督が語る。
「この試合のためにいい準備をし、どう戦うかを考えてきたが、最も重要だったのは、選手たちが、自分は何をすべきなのかという考えをはっきりと持っていたことだ。そして、それがうまくいった」
アトレティコは過去4シーズンで、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準優勝2回、同ベスト4とベスト8が各1回と、安定して好成績を残していた。今季はCLでこそグループリーグ敗退に終わったが、こうしてELのタイトルをしっかりと勝ち取ったことで、あらためてその実力を示す結果となった。
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