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金満パリはなぜCLで勝てないか。
会長の代わりに、あの3人が考える (3ページ目)

  • photo by Getty Images

小澤 やはりジネディーヌ・ジダン監督の采配がポイントだったと思います。もちろんトニ・クロースとルカ・モドリッチが故障明けだったこともありますが、選手の序列に惑わされることなく、勝利するためのメンバーとシステムを選択したことが勝因のひとつとして挙げられます。

 第2戦では前半に失点しないことが重要なミッションだったわけですが、開始15分までは積極的に前からハイプレスを仕掛けて、相手の出鼻をくじくことができていました。試合開始直後に、カゼミーロとコヴァチッチがモッタに対して2人でプレッシャーをかけていった場面は、その象徴だったと思います。

 それと、センターバックのセルヒオ・ラモスとラファエル・ヴァランの守備範囲の広さも目立っていました。特にマドリーはマルセロが高いポジションをとるので、どうしてもその裏を突かれやすいのですが、この試合ではキリアン・ムバッペとダニ・アウヴェスというパリの強力な右サイドに対して、通常より左にポジションをとっていたセルヒオ・ラモスがしっかりカバーリングして蓋をすることができていました。

 その時、カゼミーロ、またはコヴァチッチが最終ラインに下がって、セルヒオ・ラモスが空けたスペースを埋めるペルムータ(カバーリングに出た選手のカバーリング)と呼ばれる戦術アクションも怠っていませんでした。

倉敷 パリの凱旋門は通過しましたが、優勝を目指す上でマドリーの守備に不安はありませんか? 結局、この試合もクリーンシートを逃しました。今シーズンはほとんどの試合で失点していて、リーガでは8試合しかクリーンシートがありません。(第29節終了時点)。存在感を見せたセルヒオ・ラモスもイエローカードをもらっています。

小澤 失点の原因として考えられることとしては、サイドを破られた時にセンターバックが早めにそのサイドに出ていくという守備の方法があると思います。たとえばアトレティコ・マドリーの場合、サイドを破られた時に基本的にはディエゴ・ゴディンとホセ・マリア・ヒメネスのセンターバックが出ていくのではなく、ボランチかサイドハーフが下がってカバーリングに出ていくという約束事があります。ただ、これはどちらが良いということではなく、あくまでも監督の好みだと思います。

 そういう意味では、セルヒオ・ラモスやヴァランのようなスピードがあってカバーリングエリアが広いセンターバックがいるのであれば、僕はセンターバックがサイドに出ていくやり方がマドリーには適していると見ています。

 確かにパリとの2試合でも失点しましたけど、守備面でいうと非常に締まっていましたし、このセカンドレグに関していえば、ゲームとして負けそうな気配もなく、ほとんど決定機も与えていなかったので、それほど不安要素にはなっていないように思います。

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