急に出番がなくなった浅野拓磨。そのとき長谷部誠のアドバイスは...? (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 実はこの日の対戦相手、フランクフルトの長谷部誠にも、そんな苦しい時期があった。ヴォルフスブルク時代の2012~13シーズン。何がフェリックス・マガト監督の逆鱗に触れたのか、開幕から8試合連続で出場がなかった。だがその後、チームの成績不振によりマガトが解任されると、後任のローレンツ・ギュンター・ケストナー監督のもとで一気に主力に復帰。チームの精神的な支柱のような立場を任されるようになった。

 その長谷部が、言葉を選びながらも丁寧に、後輩へ間接的なエールを送る。

「彼の状況について、そんなに(直接は)話してないので詳しくはわからないですけど、とにかくこういうレベルの高いところでやっていれば、そういう苦しい状況、厳しい状況に立たされることもある。でも、そういうときにこそ、選手としても人間としても真価を問われる。

 いいときはみんないいと思いますけど、苦しいときにどれだけ踏ん張れるか、その状況を打開できるかということが、また彼をより成長させると思う。そういう意味では、こういう状況はよくはないのかもしれないですけど、彼にとって将来的には、この時間がいい時間だった、すごく意味のあるものだったと思えるようになると思います」

 ドイツでさまざまな経験を重ねてきた長谷部の言葉は重い。
 
 とはいえ、この苦境を意味のあるものにするためにも、まずは切り抜ける必要がある。浅野は「ワールドカップという目標ばかりを考えれば焦ってしまうが、サッカー人生はまだある」と言うが、現実的には代表メンバーの切符を手にできるかどうかもかかっているのだ。シビれるような戦いの日々を浅野は送っている。


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