バルサ完勝のクラシコ。
3人のリーガ達人がマドリーの問題点を斬る
蹴球最前線──ワールドフットボール観戦術── vol.3
2018年も各地で最高峰の戦いが繰り広げられる欧州各国のサッカーリーグ。この企画では、その世界トップの魅力、そして観戦術を目利きたちが語り合います。
サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎──。
今回のテーマは、前回に続いて、リーガ・エスパニョーラ(ラ・リーガ)の2大クラブ、バルセロナ(バルサ)とレアル・マドリード(マドリー)が対戦した伝統の一戦「エル・クラシコ」。3氏が試合後半のポイントを分析します。
バルサのバルベルデ(左)とマドリーのジダン(右)、両指揮官の采配も結果を大きく左右した倉敷 両チーム無得点で終わった前半でしたが、この試合は後半から流れが大きく変わりました。冒頭で小澤さんがバルサ側の修正点について触れていましたが、もう少しその部分を詳しく聞かせてください。
小澤 前半はメッシの運動量が極端に少なく、ほぼトップ下固定でプレーしていたため、パウリーニョが前線に上がってスアレスとツートップのようなかたちになっていました。エルネスト・バルベルデ監督はそこを少し修正して、後半はリオネル・メッシとルイス・スアレスをツートップにして、パウリーニョはトップ下というよりも中盤の右寄りでプレーさせていました。前半はマドリーのダニエル・カルバハル、マルセロの両SBを攻撃の起点とされたことを受けて、システムとしては4−4−2と同じですが中盤の陣形を横並びとする対策を打ってきました。
同時に、ハーフタイムを挟んでマドリーのハイプレスがインテンシティという点で少し低下したために、バルサがボールを持てるようになったというところがこの試合の潮目になったと思います。
中山 逆にマドリーは、前半の内容が予想以上によかった分、後半の入り方が緩かった。前後半の入り方は、今季のマドリーがずっと抱えている問題点ではあるんですが、結果的にこの大事な試合でもそれが出てしまいましたね。
ただ、バルサにボールを持たれるようになってはいましたが、守備陣形を崩されるほどバタバタしてはいなかったので、まさか失点するとは考えていなかったんじゃないでしょうか。慌てている感じもしませんでしたし。でも結局は、その"緩み"が失点を招いたとも言えますけど。
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