W杯予選のアルゼンチンが危機。ペルーをビビらせる会場で必勝を期す (3ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 以前のチームでは両サイドバックが常に高い位置をキープし、攻撃に加わる人数が多かった。こうして数的有利を作ることで、フリーの選手が出現していたのだ。しかし最近は、両サイドバックが低い位置にとどまっている。これでは数的優位は作れない。

 では、なぜサイドバックは低い位置にいるのか。それは、ハビエル・マスチェラーノと関係がある。33歳のベテランとなっても、1対1の強さ、読みの鋭さ、球際の強さは相変わらずで、超一流のボランチだ。マスチェラーノがいるからサイドバックは果敢に上がることができ、相手の逆襲を受けた際は、彼が危険な箇所をきっちりカバーしていた。

 しかし、年齢によるものなのか、ここ1年ほどはカバーできるスペースが明らかに狭くなっている。マスチェラーノは攻守の軸であり、背骨のような存在だ。そこがわずかに歪んだことで、チームという全身にさまざまな影響が表れている。

 サンパオリは新戦力の導入で活路を見出そうとしており、インテルで活躍中のマウロ・イカルディをウルグアイ戦とベネズエラ戦で先発起用した。彼は昨シーズン、インテルで26得点を挙げており、元アルゼンチン代表のストライカー、ガブリエル・バティストゥータも、「マウロは代表に必要な選手だ」とかねてから言っていた。

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