「ウッシー、腱がないじゃん」状態からの復活。内田篤人、激動の7年 (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by picture alliance/AFLO

 実はケガをしたハノーファー戦には前日本代表監督の岡田武史氏が観戦に訪れており、試合後には対談も予定されていた。「岡田さんが見に来るの」と、嬉しそうに話していたことが思い出される。岡田氏にいいところを見せたかったのかもしれない。

 大ケガから見事に復活を果たしたのはブラジルW杯本番、初戦のコートジボワール戦だった。続くギリシャ戦、コロンビア戦と、3戦を通して"戦えていた"唯一の選手だったことに異論のある人はいないだろう。内田はピタリとここに復帰の照準を合わせたスタッフの努力に感謝しつつ、仲間たちには厳しい言葉を投げかけた。

「真面目すぎ。言われた通りにやりすぎ」

 せっかく復帰したチャンスを無駄にはできないという思いが強かったのかもしれない。グループリーグ敗退が決まると、内田は代表引退までも口にした。

 迎えた2014~15シーズンは、立ち上がりの4節こそ欠場したが、第5節以降は、第22節を除いて第24節までフル出場を続けている。この間にケラー監督が辞任し、今度はロベルト・ディマッテオが監督に就任した。

 このシーズンの内田の最後の試合は、3月10日のチャンピオンズリーグ、レアル・マドリード戦。81分からのプレーだった。実はこの年の2月頃から、右膝に痛みがきていた。レアル戦の直前、ディマテッテオから「以前のように走れていないが大丈夫か」「お前は痛い時も痛いと言わない選手らしいが、大丈夫なのか」と、聞かれていたという。内田は「なんとかやれる」と回答したものの、ベンチスタート。「嘘でもできるって言っておけばよかったな」と後悔するほど、レアル戦は魅力的だった。

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