CL制覇を狙う欧州ビッグクラブ、「賢いお金の使い方」はどこだ? (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

チェルシー(イングランド)
【IN:アルバロ・モラタ、ティムエ・バカヨコ、ダニー・ドリンクウォーター、アントニオ・リュディガーなど】
【OUT:マティッチ、ナタン・アケー、フアン・クアドラード、ナサニエル・チャロバーなど】

 プレミアリーグ王者も2億ユーロ(約260億円)以上の移籍金を投じたが、全体的に後手に回った印象だ。ジエゴ・コスタとアントニオ・コンテ監督の関係は修復不可能となり、その後釜に据えようとしたルカクをユナイテッドに横取りされ、第2候補のモラタにはクラブ史上最高額を費やした。ウイングバックに関しても、優先順位の高い選手はことごとく取り逃がし、ギリギリでイタリアの上昇株であるザッパコスタを迎えて帳尻を合わせた。

 マティッチの放出には大きな疑問符がつくし、6度のレンタル移籍を経験してきた生え抜きの有望株のチャロバーは、自身の将来を考慮して正式にクラブを去った(そして新天地ワトフォードで活躍してイングランド代表に選出)。4つのタイトル獲得を目指す今季、薄い選手層は気になるところだが、このイタリア人指揮官は逆境でこそ力を発揮するはずだ。

レアル・マドリード(スペイン)
【IN:テオ・エルナンデス、ダニ・セバジョスなど】
【OUT:モラタ、ダニーロ、ハメス・ロドリゲス(ローン)、ペペなど】

 欧州王者は余裕の夏を過ごした。モラタやダニーロ、ロドリゲス、ペペといった過剰戦力を放出し、代わりに迎え入れたのはスペインで育った20歳前後の有望な若者たちだ。クリスティアーノ・ロナウドやガレス・ベイルといった外国籍のスターに交えて、イスコやマルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケスらスペイン人選手をうまく起用してきたジネディーヌ・ジダン監督は、スペイン化をさらに推し進めているように見える。

 全体の戦力値で見ればマイナスかもしれないが、レンタルバック組も含めて、新戦力には大きな伸びしろと潜在能力がある。若手の登用にも積極的な名将のもとで、第2、第3のアセンシオが生まれるか。

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