柴崎岳、1部昇格へ王手のゴール。お祭り騒ぎにも一人、決勝へ準備開始 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「何も考えなかったですね。ニアだったり、中にはたくさん人がいたので、こぼれ球というか、流れを待っていたら、うまくきたので、決められてよかったです」

 ダイレクトに合わせると、ボールはカバーに入ったカディスDFの届かないコースへ飛び、ネットを揺らす。その瞬間、怒号にも近い大きな歓声がスタジアムを包んでいた。レアル・マドリードから2点を決めたタレントを信じていたテネリフェサポーターたちは、喜びを爆発させた。隣の記者ブースにいたスペイン人記者も記者席の前に座るサポーターも「ガクのゴールを見たか、おい」と言わんばかりに、日本人記者に向けてガッツポーズを見せた。

 もっとも当の本人は、ネットが揺れ、主審がゴールを認める笛を鳴らすと、振り向きざまに小さなガッツポーズを見せただけだった。その姿はいたって冷静で、クールな印象を与えた。

 ゴールの後、一番に柴崎のもとへ駆けつけたアイトール・サンスは、試合後のミックスゾーンで柴崎について聞かれると、「満足しているだろうけど、日本人はああいった感じだから(笑)」と語り、地元メディアを笑わせた。欧州の中でも特に喜びをすぐに爆発させるスペイン人とは違い、感情をあまり外に出さない日本人選手に対しての皮肉めいたジョークにも聞こえるが、それは決してネガティブなものではない。

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