イングランド時代、到来か。
U-20W杯に見る世界と日本の勢力図 (3ページ目)
なかでも圧巻だったのは、イタリアとのヨーロッパ勢対決となった準決勝である。試合は、"ウノゼロ(1-0の勝利)"の美学を持つ試合巧者を相手に、開始わずか2分にして先制を許すという最悪の展開でスタートした。
ところが、イングランドはまったく慌てることがなかった。ボールを保持し続け、丹念にパスをつなぎ、イタリアが敷く鉄壁の守備網に少しずつ綻(ほころ)びを作っていった。
イタリアがイングランドの2ボランチにプレッシャーをかけようと寄せてくれば、2ボランチがサイドバックの位置に落ちてボールを受け、サイドバックを高い位置に押し出すと、イタリアの守備が手薄になった中盤にサイドハーフが落ちてきてタテパスを引き出す。
あるいは、これを警戒して、イタリアがボランチへのプレスを緩めれば、ボランチが楽にボールを受けて前線に配給する。
4-4-1-1の布陣から変幻自在にポジションを変えてボールを動かすイングランドに対し、さしもの試合巧者も誰が誰をどうマークしていいのかがわからなくなり、混乱に陥る。ボールの奪いどころを定められなくなったイタリアは、次第に後退していくしかなかった。その結果が、66分、77分、88分にゴールを重ねての3-1の逆転勝利である。
そこで展開されていたのは、サッカーの母国には失礼ながら、およそイングランドらしからぬ流麗なポゼッションサッカーだった。
U-20イタリア代表のアルベリコ・エヴァーニ監督が、「前半に多くのエネルギーを使ってしまい、後半は動けなくなり、ボールを奪えなくなった」と話していたが、シンプソン監督からすれば、「ボールポゼッションを高め、イタリアの選手を走らせてダメージを与えたことが、ラスト25~30分に利いた」結果だった。
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