ついにデビューした「ブラジルの久保建英」はネイマールを超えるか (3ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 87分、ゴールを背にしてショートパスを受け、ダイレクトで左足で叩き、これはパス成功。90分には左タッチライン沿いでパスを受けてドリブル突破を試みたが、DFに足を出されてボールはタッチラインを割る。93分、今度は右サイドでボールを受け、またぎフェイントで相手を抜こうとしたが、ボールが足に絡んで奪われた......。

 試合後、本人が「緊張のあまり、焦ってしまった」と打ち明けたように、珍しくミスが多く、得点にからむことはできなかった。しかし、初陣の16歳にこれだけボールが集まったこと自体、チームメイトからの信頼と期待の表れだろう。

 ゼ・リカルド監督も、「今日は、トップチームで第一歩を踏み出したことが重要だった。今後も、適宜チャンスを与える」と語っている。

 ブラジルでは優秀なタレントは10代後半にデビューするのが通例。ネイマールは17歳1カ月で初舞台を踏んだが、ヴィニシウスはさらに3カ月早い。巨大な才能の持ち主であることは、疑いの余地がない。足りないのは、経験とそれに裏打ちされた自信だろう。

 今後、練習からアピールして多くの試合に出場し、今年中にレギュラー・ポジションを奪いたいところ。10月にインドで開催されるU-17ワールドカップではブラジルのエースとして臨み、国際経験を積むはずだ。そして、18歳となる来年7月、おそらくレアル・マドリードへ移籍することになるのだろう。ただし「白い巨人」で常時出場するには、世界トップクラスの名手たちとの競争に打ち勝たなくてはならない。

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