バルセロナと岡崎慎司。CL史に残るビックリ仰天劇を起こしたもの (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 岡崎の貴重さが浮き彫りになった瞬間でもある。プレッシング要員に最適。番狂わせを狙おうとしたとき、欠かせない選手。CLの決勝T1回戦でも通じるなら、W杯本大会の決勝Tでも通じる。レスターの岡崎に日本代表のあり方を見た気がした。

 しかし、決勝Tいちばんの驚きは、やはりバルセロナの逆転劇だろう。パリSGがバルサ相手に、第1戦を4-0で折り返したとき、バルサがそこから試合をひっくり返すとは誰が予想しただろう。番狂わせではない。バルサの方がパリSGより若干、格上とはいえ、まさか第2戦を6-1(通算スコア6-5)で勝利するとは。後生に語り継がれる大事件だ。

 CLにおけるビックリ仰天劇として、いの一番に想起するのは、04~05シーズンの決勝だ。ミランが前半を3-0で折り返したとき、リバプールの優勝を予想する人はいなかった。ハーフタイム、リバプール・サポが合唱した"ユール・ネバー・ウォーク・アローン"も、「歌でも唄っていなけりゃ、やってられない」という鬱憤晴らしの合唱にしか聞こえなかった。ところがリバプールは後半3点を連取。延長、PK戦の末にミランを退け、欧州一の座に輝いた。

 リバプールの監督ラファ・ベニテスは後半の頭から、布陣を4-2-3-1から3-4-3(3-3-3-1)に変更。前線から、可能な限りのプレッシングを掛けた。慌てたミランはミスを連発。これこそが大逆転劇の要因だった。

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