バルセロナと岡崎慎司。CL史に残る
ビックリ仰天劇を起こしたもの

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

"奇跡の大逆転"に喜びを爆発させるバルセロナの選手たち 2016~17シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)。決勝トーナメント1回戦で番狂わせと呼べるのは、レスターがセビージャを破った一戦だろう。国内リーグ15位。クレイグ・シェイクスピアが監督の座に就いたのも第2戦の数日前だ。レスターにとって、ホルヘ・サンパオリ率いるセビージャはハードルの高い相手だった。

 退場者を出し10人になったにもかかわらず、終盤、レスターを追い詰めたセビージャだが、1点及ばずレスターに逃げ切りを許した。

 スタメンで出たレスターの岡崎慎司は、後半19分、ピッチを後にした。だが、贔屓目(ひいきめ)を抜きにして、彼はこの番狂わせに大きく貢献していた。攻撃能力というより守備能力で。前線から激しくボールを追いかける岡崎に、セビージャはすっかり調子を崩された。パスは微妙にずれ、レスター陣内へ円滑に侵入することができなかった。

 レスターはその間隙を突いて2点を奪取。ハイプレッシングの産物に他ならない。岡崎がピッチから下がるのと、セビージャの反撃が本格化したのはほぼ同時。レスターは受けに回った。逃げ切りには成功したが、この試合は、後ろで守ると危ないという現代サッカーの傾向を反映した一戦でもある。

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