冗舌になったベッカムが語る。
「最高の選手はジダンとロナウド」

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】デイビッド・ベッカムの変身(後編)

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東京で行われた熊本地震の被災地支援イベントに参加したベッカム photo by KYODO東京で行われた熊本地震の被災地支援イベントに参加したベッカム photo by KYODO ヨハネスブルクで開かれたイベントで、まだデイビッド・ベッカムは語っていた。彼はスピーチのトレーニングを受けたらしく、あのベッカムとは思えない冗舌さで話し続けた。

「これまで最高の経験と思えるものは、すばらしい家族を持ったことです」と言ったあと、ベッカムはさらに「でも、自分のキャリアで最も誇りに思えるのは......」と続けた。僕は彼が、99年のチャンピオンズリーグ優勝のことを持ち出すのだろうと思った。ところが、ベッカムはこう言った。

「......母国のキャプテンを務めたことです。ピーター・テイラー(イングランド代表で2000年に1試合だけ監督代行として指揮を執った)にキャプテンの腕章をもらったときが、私個人の最も誇らしい瞬間でした。チームを、選手たちを、そして国を、ワールドカップの決勝(ファイナル)に導ける......」と言って、ベッカムはあわてて言い直した。「......ワールドカップの本大会(ファイナルズ)に導けること以上にすばらしいことはありません」

「私はイングランド人であることを、とても誇りに思います。自国のキャプテンを6年にわたって務めましたが、私は生まれついてのリーダーではありませんでした。でも私は、ハードなトレーニングをしました。そしてありがたいことに、そんな私についてきてくれるチームメイトが周囲にいました。それが私なりのリーダーシップでした」

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