EUROに続きW杯予選もヤバい。オランダ代表はなぜ弱くなったのか (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by AFLO

 また、95年のボスマン判決の影響も色濃く残る。これによりEU圏内の国籍を持つ選手の移籍自由化が認められると、オランダのクラブに所属していた優秀な選手たちは他国のビッグクラブに根こそぎ引き抜かれていった。そうして弱体化していった国内リーグでは、選手たちの大きな成長も望めなくなった。

 ちなみに、95年はアヤックスがオランダ勢として最後にチャンピオンズリーグを制した年だ。現在のオランダのクラブが欧州の頂点に立てる可能性は限りなくゼロに近い。近年では、有望な若手が国外の有力クラブに成長段階で買われながらも、移籍先のファーストチームで居場所を見つけられずに別のクラブにローンで出され、せっかくの才能が埋もれてしまっているケースも少なくない。

 オランダの協会はこのような事態をずっと見過ごしてきたようだ。過去2回のワールドカップで準優勝と3位という好成績が、根源的な問題を覆い隠したこともある(どちらも本来のオランダとは異なる戦い方でつかんだ結果だった)。その後、EURO 2016で20年ぶりに欧州選手権の本戦出場を逃したことで、さすがに目が覚めたかと思いきや、最近になっても一致団結して問題に取り組む姿勢は見えてこない。

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