コンテ監督の流儀。殺人的トレーニングで代表チームも戦術は高まる (4ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 もうひとつ、極めて大切な点は、ユーロでイタリアが見せた戦い方が、ユーロ予選でのそれとは明らかに一線を画すということだ。つまり、まとまった時間があったからこそ、基本的な戦術を変えることができた。

 もちろん、代表監督に与えられる時間は余りにも少ない。だからこそ今回、代表監督から、再びクラブチーム、チェルシーの監督となる道を選んだ。数カ月おきではない、毎日あの芝の匂いに包まれる日常を、私は必要としていたんだ。

 自分たちの立ち位置を理解し、対戦相手との力量差を見きわめ、勝つためにどうするか。それを考え抜き、トレーニングを積み、イタリア代表の力が最大限発揮されたスペイン戦に、アントニオ・コンテの戦術が凝縮されていた。そして、格上に勝つために続けてきた準備が実ったとき、イタリアはユーロ前回王者のスペインに勝利した。

 そして今シーズン、プレミアリーグのチェルシーの指揮官に就任したコンテは、自らが理想と考えるチームについて語ってくれた。
(つづく)

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■アントニオ・コンテ
1969年7月31日イタリア生まれ。選手として、90年代のユベントス黄金期のメンバーとして活躍。イタリア代表ではW杯、ユーロに出場。2000年に現役引退後、06年にセリエBのアレッツォ監督となり、08年からはバーリを指揮してセリエA昇格。その後、アタランタ、シエナなどの監督も務め、11年ユベントス監督に就任。リーグ3連覇を達成した。14年にイタリア代表監督となり、EURO2016でベスト8進出。今シーズンからプレミアリーグ、チェルシーの指揮を執る

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