イタリアの名将コンテ「勝利のマネジメント術」を自信満々に語る

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

アントニオ・コンテインタビューpart.1

 今シーズンからイングランドプレミアリーグのチェルシーで指揮を執るアントニオ・コンテ。ユーロ2016ではイタリア代表を率いてベスト8進出。大会前の低評価を覆す結果を残した。そのイタリアの名将が、欧州サッカーシーズンインを前に、自らのマネジメントの極意を語った。

ユーロ2016でイタリア代表を率いてベスト8まで進出したアントニオ・コンテ監督photo by Getty Imagesユーロ2016でイタリア代表を率いてベスト8まで進出したアントニオ・コンテ監督photo by Getty Images

――2014年9月4日、イタリアVSオランダ(2−0)。イタリア代表監督としての初戦(親善試合)、DFレオナルド・ボヌッチが縦に長く通したパスをFWチーロ・インモービレが受けると敵GKをかわして先制。

 そして2016年6月13日、イタリアVSベルギー(2−0)。ユーロ本大会初戦、DFレオナルド・ボヌッチが縦に長く通したパスをMFエマヌエーレ・ジャッケリーニが見事なトラップから右足でGKティボー・クルトワの左に蹴り込み先制。

 約2年の隔たりがありながら、シンプルな攻めの形は実によく似ています。これは単なる偶然でしょうか?

 私のサッカーに偶然は決してない。監督アントニオ・コンテの指揮下でプレーした選手であれば全員が、また、この私を知る者であれば誰もがそれを理解している。一切妥協しない。いかなる細部も疎かにしない。すべてのプレーがトレーニングの結果だ。

 そのうえで、質問にあるふたつの場面を語ればこうなる。敵が前掛かりに攻めてくれば、その布陣を高く押し上げてくるので、当然敵は自らの背後を大きく空けることになる。その空いたスペースを狙わない手はない。

 敵がリスクを冒して攻めてくるのであれば、そこを狙うのは当たり前だ。そして、(そうしたチームを想定して)いくつもの攻撃パターンを準備していた。そのひとつが、質問にあるオランダ戦、ベルギー戦での攻めの形だ。この攻撃の〝つくり手"はDFレオナルド・ボヌッチ。彼の右足を起点とする攻めは武器として周到に用意していたものだ。

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