月給2万円からCL出場へ。ルーマニア王者のボランチ、瀬戸貴幸の冒険

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao

 昨季は10年ぶりにチャンピオンズリーグ(CL)の本戦に日本人選手の姿が1人もなかった。だが2016~2017シーズンは、レスターの岡崎慎司、ド ルトムントの香川真司、セビージャの清武弘嗣が出場を決めているほか、それに続く日本人として意外な選手の名が挙がるかもしれない。

ルーマニアリーグで優勝を果たしたアストラの瀬戸貴幸ルーマニアリーグで優勝を果たしたアストラの瀬戸貴幸 ルーマニア1部リーグのアストラでプレーするMF瀬戸貴幸をご存知だろうか。知らなくても当然だろう。瀬戸は日本代表経験がないのはもちろん、Jリーグすら経験していないのだから。

 瀬戸はルーマニアに渡って丸9年、アストラとともに3部から2部、2部から1部と昇格を経験した。そしてついに昨季ルーマニア1部リーグで初優勝を果たし、夢だったCL出場のチャンスを得たのだ。

 現在、ルーマニアのUEFAランキングは15位。7月26日から始まる予選3回戦から登場し、続くプレーオフを勝ち抜けばCL本戦に出場できる。

「い まのアストラのメンバーで3部時代を知っているのは自分ひとり。おそらく、当時こんなことになるとは誰も予想していなかったはずです。少しずつステップ アップしてきて1部昇格7年目にして優勝できたことは、素直にうれしい。CLは誰でも出られる大会ではないですし、出場できれば大きなチャンス。ピッチで アンセムを聞くのは昔からの夢でしたし、そこで結果を残せばその先につながると思う」

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