アーセナル「青田買い」の黒歴史。浅野拓磨のリミットは2年か (5ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 このように、青田買いされながらも結果を残せずにアーセナルを去った選手を挙げればキリはないが、浅野にとって重要なことは、アーセナル以外のク ラブでもしっかりと実績を残せば、ヨーロッパのマーケットに乗ることができる、ということだ。それは、かつての稲本が証明してくれている。

  レンタル移籍でアーセナル入りを果たした稲本は、その後、フラム、WBA、カーディフ・シティで実績を積み、その後もトルコのガラタサライ、ドイツのフランクフルト、フランスのレンヌと各リーグの有力クラブを渡り歩き、マーケットにおける地位を確立。計9シーズンにわたってヨーロッパでプレーし続けることができた。

 同じく、故障に泣かされながらも、現在もドイツ2部のザンクトパウリでプレーする宮市も、その道を辿りつつある。もちろん、 ヨーロッパのクラブに所属することだけが重要というわけではないが、彼らのように国外で地位を築くのも、ひとつのキャリアの積み方であることは間違いない。

 しかも、英国のEU脱退を受け、今後は日本人がプレミアリーグのクラブに移籍するハードルはますます高くなることが予想される。ある意味、今回の浅野のケースは日本人選手にとってのラストチャンスともなりかねない。そういった点からしても、浅野にかかる期待は大きい。

 いずれにしても、浅野がヨーロッパでどのような道を辿るのかは、まずは今後2年間の実績がひとつの目安となりそうだ。予定では、今月17日の横浜F・マリノス戦を最後に、浅野はいよいよアーセナルに旅立っていく。

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