C・ロナウドを欠いて栄冠。頼りなさげなポルトガル指揮官の見事な采配 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 ポルトガルのF・サントスは悩み多き監督だ。準決勝までの6試合中、ウェールズ戦(準決勝)を除いて、5試合で大苦戦を強いられた。90分勝ちは ゼロ。グループリーグは3分け。15番目の成績で決勝トーナメントの16枠に辛くも滑り込んだ。決勝トーナメント1回戦(クロアチア戦)は延長、準々決勝 (ポーランド戦)は、PK戦に及ぶ大接戦だった。監督はそのつど頭を抱え、頼りなさげな顔で推移を見守った。一方で、しっかり手を打ちながら。

  ポルトガルの強みはズバリ、監督の力にある。これだけ苦戦しながら、F・サントス監督はフィールドプレーヤー、全員をピッチに送り込んできた。絶対に負け られない戦いになれば、監督は頼れる順に選手を起用しがちだが、彼は常にテストを試みていた。試行錯誤を繰り返しながら20人すべてを使った。

 F・サントス監督は、当初から長い戦いを想定し、その最終戦から逆算して、選手を起用していた。

 今大会とこれまでの大会との違いは、本大会出場国が16から24に増えたことだ。1チームが最大こなす試合数が6から7試合に変わった。チームにはこれまで以上に「体力」が不可欠になっていた。

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