小国ウェールズが下剋上で4強。なぜ強豪ベルギーに勝てたのか? (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Hara Masashi

 レギュラーふたりに代わり、DFジェイソン・デナイエル、ジョルダン・ルカクが入った左サイドの守備は明らかにバランスが悪く、前後左右に間延びして簡単にスペースを空けてしまう。すると、ぽっかりと空いたその危険地帯に、次々に縦パスを入れられたのである。

 ブロックを作り、ボールを奪ってカウンターを狙うためには、あくまでも自分たちの前で相手にボールを回させる必要がある。ところが、簡単に縦パスを通されることによって、MFは後ろ向き(自陣ゴール側を向く)の状態にさせられ、ボールを後追いすることになる。

 これでは、どうにかウェールズの攻撃を防いだとしてもカウンターにつなげるのは難しい。それどころか、セカンドボールをウェールズに拾われ、連続攻撃を受ける結果となった。

 歯車が狂い始めたベルギーは、ほとんどカウンターアタックを繰り出すことができず、ただただ防戦の時間が続いた。そして、CKからついに失点。追加点を奪うどころか、同点ゴールを許してしまったのだ。

 一度狂った歯車は、そうは簡単に元には戻らない。後半に入ると、メンバーを入れ替えて前線に厚みを加え、勝ち越しゴールを狙うも、逆に前半から弱点になっていた左サイドのスペースをウェールズのMFアーロン・ラムジーに突かれ、FWロブソン・カヌに決勝点を喫する。焦りが増幅したベルギーは、次第に攻撃が強引になり、むしろゴールはどんどんと遠のいていった。

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