フランクフルト長谷部誠に密着。「残留への道」はこうして開けた (4ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by AFLO

 守備ブロックが築けている時は中央で危険なエリアに入ってくる相手選手を捕まえ、相手に突破を許せば最終ラインに入ってゴール前で体を張る。とりわけ、相手に喰らいついて攻撃を遅らせるのか、あるいは最終ラインに入って守備に厚みを持たせるのかというカウンターへの対応の見極めは見事で、コバチ監督から信頼されるのも頷ける。

 守備の改善は徐々にプレーに表れ始めていた。第27節ハノーファー戦は相手を無失点に抑え、続く第28節バイエルン戦は相手が後半ギアを落としたとはいえ1失点で耐えた。その失点もMFフランク・リベリーのスーパーゴールによるもの。ある意味で防ぎようがなかった。

 第29節ホッフェンハイム戦ではミスからのカウンターと攻めに出た背後を突かれて2点を失う。第30節のレバークーゼン戦でも3点を奪われ、事態は悪化しているように思えたが、この試合では70分に先制点を奪われるまでほとんどチャンスを許していなかった。その先制点もまたMFケビン・カンプルのスーパーボレーシュートによるもので、不運な失点ではあった。

 このころ長谷部は「今のチーム状況だと(攻撃陣が奪えるのは)1点、多くて2点なので、やっぱり守備の部分でミスなくしっかりやることが大事だと思う」と口にしていた。そしてそんな姿勢が、コバチ監督が「最後のチャンス」と位置付けた第31節マインツ戦の勝利に繋がった。

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