フランクフルト長谷部誠に密着。「残留への道」はこうして開けた (3ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by AFLO

 もちろん内容が改善されたところで、1ポイントが運命の分かれ目になりかねない残留争いの中では、勝ち点を得られなければ意味がないことは、長谷部自身が一番分かっていた。だからこそ結果が出ないことに対してもどかしさを感じていることは、その表情から見て取ることができた。

 コバチ監督の就任以降、チームの守備が改善されているのは確かだった。守備的MF出身のコバチ監督は、就任直後から、最終ラインからFWまでの距離を短く保つコンパクトな守備を求め、選手に対して細かい指示を与えることで強く意識付けをしていった。

 長谷部が果たした役割も小さくない。フェー前監督のもとでは右SBでの出場が主だったが、コバチ監督からは中盤の底で安定感をもたらす能力を買われてボランチで起用されるようになった。これは、現役時代にクロアチア代表やバイエルン・ミュンヘンでプレーし、名ボランチとして知られた監督から、同じポジションで高評価を受けたことを意味している。

 攻撃面では、時に「攻撃には行かなくていい」と指示されるほどだが、守備面ではDFラインの前に入ってフィルターとなる役割で多くを求められている。基本的には中盤の底にポジションを取るが、戦況に応じてそのつど必要なプレーをこなしていく。

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