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バーディー不在の非常事態。
岡崎慎司が「自分の価値」を証明する (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke  photo by AFLO

 そのなかで岡崎慎司は、最前線と中盤を往復しながらゴールを狙った。バーディーの先制時には、クレバーなオフザボールの動きでMFエンゴロ・カンテのためにスペースを作ってチャンスメーク。「惜しかった。岡崎のボールに1秒遅れでバーディーが辿り着いた」とクラウディオ・ラニエリ監督が嘆いた55分の場面では、MFダニー・ドリンクウォーターのスルーパスからクロスを送り、好機を呼び込んだ。

 ところが、バーディーの退場処分から3分後、途中交代を命じられる。もちろん、ラニエリ監督としては退場者が出たことで、戦術変更を必要としていた。身体の強いウジョアを投入し、最前線でボールの収めどころをつくりかったのだろう。セットプレー時に高さで貢献できる点も、指揮官の狙いだったはずだ。そのウジョアが、後半ロスタイムにPKでゴール。結果論で言えば、采配は「吉」と出た。

 しかし、岡崎としては、この途中交代は相当悔しかったのではないだろうか。

「今日の試合の感想は?」

 試合後に質問が飛ぶと、岡崎は第一声で答える。

「よくわからない(苦笑)。考えが落ち着かない」

 本人としては、「バーディーの退場から勝負」と感じていたように思う。前線からの守備でチームを支え、カウンターのチャンスに最前線まで突っ走ってゴールを狙う。そして、チームを勝利に導く――。戦術的理由での交代は仕方ないが、気持ちは自然と高まっていたはずだ。実際、エネルギッシュに動く岡崎が退くと、前線からのプレスが弱まり、防戦一方になっていった。

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