「守備も僕の良さ」。マインツの武器になってきた武藤嘉紀 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 42分、同点ゴールにつながったシーン。中盤のラツァからのスルーパスに抜け出すと、ゴールライン際で追いつき折り返す。走り込んだクレメンスのシュートは右ポストに弾かれるが、反応したマリが飛び出してきたGKを尻目に落ち着いてシュート。「打ってもよかったんだけど......」と武藤は振り返ったが、味方との距離感、関係性の良さが光る得点だった。

 武藤は「フォワードで出ているからには得点を」と語る一方で「守備も僕の良さ」と言ってはばからない。新加入選手として完全にフィットしただけでなく、今はマインツの武器として機能している。

 一方、シャルケは勝ちこそしたものの、今週始まるヨーロッパリーグに向けて厳しい内容だった。攻撃では、ドラクスラーとファルファンの抜けた穴が大きい。両翼でスピードを持ってゴールに向かうことのできるドリブラーがいなくなったことで、迫力はかなり奪われた。

 内田篤人が長期離脱中ということもあり、新加入のカイサラが右SBでプレーしているが、こちらは可もなく不可もなくといった印象だ。守備面で穴をあけることはないが、ファルファンと内田のホットラインのように、前線のチュポモティングと縦関係を築けているわけではない。結局のところ、個人の能力でサッカーをする昨季までのシャルケから大きな進歩はない。

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