高騰する放映権料。テレビでサッカーが見られなくなる日
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】テレビの時代のサッカー(後編)
テレビを見る人が減っているなかで、今でもひとつだけ多くの視聴者を必ず集められる番組がある。フットボールの重要な試合だ。
わかりやすい例をあげると、昨年のワールドカップ・ブラジル大会決勝のドイツ─アルゼンチン戦は、ドイツで約3500万人のテレビ視聴者を集め、さらに最高で1000万人がパブリックビューイングの大画面で観戦したとされる。ドイツの歴史上、これだけ多くの人が同じ経験を共有したのは、おそらく初めてだろう(現在のドイツの人口は約8000万人だ)。
ドイツで歴史的な視聴率をあげたブラジルW杯決勝(photo by JMPA) いまファンのコミュニティーはローカル(地域単位)であり(多くの人が近所のパブやバーで見ている)、ナショナル(国単位)であり、そしてグローバル(地球規模)でもある。今この時も、アメリカのテネシー州にある自宅でテレビ中継を見ているマンチェスター・ユナイテッドのファンが、「バッタもん」のユナイテッドのユニフォームを着てテレビ観戦しているリビアの民兵とソーシャルメディアで交流しているかもしれない。
「グローバル」な会話には、フットボールに関するものが非常に多い。「ネット上のとんでもなく面白くておかしなやりとりには、実際にスタジアムで観戦している人たちと同じくらいリアルで、『参加』しているという感覚が見てとれる」と、フットボール史家のデイビッド・ゴールドブラットは言う。
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