CLでチェルシーとドロー。苦肉の策が功を奏したパリSG (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 なぜなら直前の国内リーグ、対カーン戦でMFルーカス・モウラ、MFヨアン・キャバイエ、DFマルキーニョス、DFセルジュ・オーリエの4人が負傷し、さらに本来"鉄板中盤トリオ"のセンターを務めるはずのチアゴ・モッタも、ふくらはぎの故障でこの大一番に間に合わなかったからだ。

 そこでブラン監督は、チェルシー時代に何度も守備的MFを経験しているダビド・ルイスを初めて中盤のセンターに配置し、なんとか戦列に復帰できたマルキーニョスをダビド・ルイスの代役、つまりCBで起用することでスタメンをやりくりしたのである。仕方がないとはいえ、チェルシー相手にぶっつけ本番で挑むのは大きな賭けと言えた。

 果たして、その采配は見事に的中した。チアゴ・モッタとはまた違ったエッセンスを与えてくれたダビド・ルイスの活躍により、苦戦必至と予想された試合は、互角どころか優勢に試合を進めることができたのである。特に、チェルシーのMFセスクを危険地帯から追い払い、FWジエゴ・コスタを孤立させたという守備面における効果は大きかった。

 攻撃面では流動的なポジショニングでポゼッションサッカーの中心を担うチアゴ・モッタほどの効果は示せなかったが、逆に非流動性をベースにしたシンプルなパス交換ができるというメリットも見られた。たとえば、素早くシンプルにサイドからクロスを入れてチャンスを作れた点、あるいは相手ボール時に4-1-4-1の布陣で構え、マイボールになった瞬間に速攻を仕掛けられた点などは、ダビド・ルイスのMF起用の効果と言える。特に前半は、いつもと違うパリ・サンジェルマンが見られた。

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