香川真司を外したドルトムントは何が変わったのか (2ページ目)
先制点は17分。右サイドをオーバメヤンが駆け上がり、ファーサイドに走り込んだギュンドアンが頭で合わせてネットを揺らした。試合を通してみれば、ホッフェンハイムが攻め込んだ時間帯も少なくなく、特に後半はピンチも見られたが、結局この1点を守りきったドルトムントが白星を手にした。クロップは「疲れて、ほっとした。我々は勝ちに値した」と語っている。
ドルトムントにとっては今後に向けて形が見えた収穫の大きい試合となった。まずはなんといってもフンメルスが本調子で戻ってきたことが大きい。最終ラインがばたつくことなく守っていられる。全体のコントロールが利くのだ。前回復帰した際のフンメルスは、プレイそのものが遅く、足下がばたつくなど、らしくないプレイの連続だったが、おそらく本調子ではなかったのだろう。フンメルスがいることで守備だけでなく攻撃も安定する。今回はそんな印象を受けた。
また、この日得点したギュンドアンの存在も大きい。展開力のある選手で、ボランチでプレイすることが多いが、この日はトップ下でプレイした。ボールを持った時に前に運ぶ力があり、また、得点シーンのようにゴール前に入り込む感覚もある。ギュンドアンがゴール前に入ることによって、ミキタリアンやオーバメヤンへのマークも分散する。つまり相手への脅威になる。また、これによってボールを奪われた際のリスクも軽減できるわけだ。
ここ最近の香川は、どうしても止まってボールを足下で受けるシーンが多く、その後も中盤でのパス交換に留まった。ゴール前へ運ぶ回数は少なかった。本来はディフェンダーの間でボールを受けてすり抜けるなど、動きながらボールを受ける動作に長(た)けた選手だったのに、どうもスピードを殺す動きに終始しているように見えた。快足の攻撃陣から「信頼が得られていない」「ボールがもらえない」と自身も悩まざるを得なかった。
だが、この日はトップ下にギュンドアンが入ることによって、チームとして2列目の攻撃性が増し、厚みある攻撃が可能になっているように見えた。そこから逆に香川の課題が浮かんでくるようでもあった。
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