とり・みきとヤマザキマリが体感した、W杯の実態 (4ページ目)
とり・みき プリミティヴな応援だけど、なにしろ声がでかいですよね。ベルギーが繊細に見えた(笑)。ベルギーはおやじが多かったですけれど、ロシアは女性連れや子ども連れがすごく多かったですね。
ヤマザキ ベルギーでは、「サッカーは女子どもの関わるものじゃない、これは成長した男用の楽しみだ」みたいな何かがあるんじゃないですかね。見ているとそんな感じがしました。
とり・みき 奥さんたちは「またうちのおやじが......」「サッカー狂いのこのヤドロク(宿六)が......」って思っているんでしょうね。
ヤマザキ イタリアで、国内のリーグ戦が開催される日曜になると、「まったく、うちのは家族そっちのけでサッカー見に行っちまうのよ」と奥さんが呆れて通りで立ち話をしていたりします。イタリアだけでなく、ポルトガルやフランスでもそうでしたね。
とり・みき だから、美女サポーターはロシアの人のほうがたくさんいたわけか。
ヤマザキ 自分の彼女を見せびらかすチャンスでもあるわけですからね!
とり・みき 美人の彼女を連れてきてたり、家族連れでワールドカップを見に行く。ロシアのサポーターのほうが富裕層という感じでしたね。
ヤマザキ ロシア人でここまで来られるのは、超富裕層にちがいありません。
とり・みき ロシアの同じことを愚直に繰り返す体力頼みのサッカーは、アメリカとも似ていますね。弱くないんです。でも、勝てない。後半は圧倒的にロシアのほうがチャンスを作っていてベルギーのほうが疲弊してたけど、でも終了間際に点を入れたのは結局ベルギーだった。
ヤマザキ 質実剛健さの表れでしょうね。素人目の判断ですけど、ロシアはどことなくミリタリーサッカー的というか。試合中に選手の心の乱れは許されない!という真剣さというか。
とり・みき それもあって意外なくらい、ルールや判定には忠実なんですね。文句いわない。
ヤマザキ アメリカも、『スーパーマン』を生産した国だけあって、そういうサッカーをしますよね。ロシアにも同じような傾向があるような気がします。でも、ヨーロッパの場合、とくに地中海沿岸のラテンの人達は真剣勝負で戦っていても『だって人間だもの、頑張るけど負けるかもしれないよ......』的な撓(たわ)みがちょっとあるような......。
4 / 6