とり・みきとヤマザキマリが体感した、W杯の実態 (2ページ目)
ヤマザキ そういうところにも、諸都市の経済格差が影響しているのかもしれません。リオはブラジル国内ではトップランクでお金を持っている街とされています。だから、警備体制もW杯のためにニワカ訓練したものではなく、元々警備というものに対して筋金入りの心構えを持っている人達です。ですから、ちょっとでも怪しい人はひとりも中に入れないようになっていました。あと、マラカナンなんかになると、ふだんの試合でもいつも暴動が起きかねない状態に対応していることも関係しているんでしょう。お客さんの扱いに慣れていますよね
とり・みき 周辺のお店も一部を除いて閉められたり、住民も家から立ち退かされたりしてるふうでしたけど、それも慣れている感じでしたね。
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ヤマザキ マラカナン・スタジアムの印象はどうでしたか?
とり・みき だいぶ小さいな、と。
ヤマザキ 思っていたよりも?
とり・みき だって昔は20万人入れたというスタジアムですからね。イメージが勝手に膨らんでいたんですよ。いまは8万人だけど。
ヤマザキ ナタールは4万人くらいなので、マラカナンはその倍ですね。
とり・みき 味の素スタジアムでも、最高に入っても5万人ぐらいですから。実際は、そこまで入ることはないけど(笑)。
ヤマザキ マラカナンに足を踏み入れたということだけで興奮しているサポーターもいましたよね。ピッチをバックに記念撮影をしている人達が沢山いました。わたしはもう10年以上前に誰もいないマラカナンに見学に来た事がありますが、人間で満たされると全然違いますね。まるで巨大な生き物みたい。
とり・みき 観戦したロシアとベルギーのサポーターの印象はどうでした?
ヤマザキ 感動を覚えるような(笑)、ワールドカップというイベントを謳歌(おうか)しつつ遊び心を駆使しながら存分に楽しむ人たち。
とり・みき 組織化されているところも本当はあると思うんですけれども、それをあまり感じさせませんよね。
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