2014.07.27

とり・みきとヤマザキマリが体感した、W杯の実態

 W杯では、出場国それぞれのサッカーのスタイルを目の当たりにするのも醍醐味のひとつ。欧州で人々の生活とサッカーとの関わり方を見てきた漫画家ヤマザキマリ氏と、日本サッカーを長年愛してきた漫画家、とり・みき氏がW杯現地観戦で感じ取ったことを語り合った。

とり・みき/熊本県出身。漫画家。エッセイコミックなども手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。FC東京サポーター

とり・みき (日本vsギリシャ戦などが行なわれた)ナタールは空港や会場、道路など、あらゆるものが作りかけでしたね。

ヤマザキ ナタールだけじゃなくて、小さい町は全部そんな感じでした。クイアバも全然間に合っていなかったようですね。

とり・みき 実際に行ってみると、高層マンションや都会の風景があるんだけど、最近になって無理やり高層ビルを建てて都市開発を実施した経緯が見え見えなんですよ。その風景の手前には庶民の暮らす家々があって、高層ビルとのギャップがすごかったです。


ヤマザキ ブラジルは昔からそういうところですね。リオ・デ・ジャネイロでも、ファヴェーラ(スラム街)と経済的に裕福な人達が暮らす区域は完全に分かれていますから。

とり・みき そうなのだろうけど、ナタールは競技場や空港や高層マンションがまだ新築で他が田舎な分、よけいにそのギャップが目立っていました。その田舎の風土とも関係があるのか、会場の警備は思っていたよりもウエルカムな雰囲気でしたね。

ヤマザキマリ/東京都出身。漫画家。1984年にフィレンツェの美術学校で油絵を学ぶ。1997年、漫画家として活動開始。2010年、『テルマエ・ロマエ』で2010年度漫画大賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。イタリア在住。共著に『プリニウス』(新潮社・7月9日発売)ヤマザキ スタッフの人たちも皆、仕事を楽しんでいる様子で、フレンドリーでしたね。

とり・みき チケットもろくに見ずに通してくれる、みたいな感じでしたね。リオ・デ・ジャネイロやマラカナンはさすがに都会で、警備が厳しかった。とくにマラカナンスタジアムなんて、最近できた競技場とは違い、由緒ある聖地ですからね、こういったサッカーイベントの対応も手慣れている感じはしましたね。

ヤマザキ すごくしっかりオーガナイズされていましたね。あと、警備体制もリオはどこよりも厳しく大変でした。中にたどり着くまでに警備員の人垣が3段階もあって、そのバリケード役の警備員に次から次へとチケットを見せなきゃ通してもらえない。

とり・みき 私はゲートに入る時、ボールペンを没収されました。武器になる可能性があるものは駄目みたいです。iPadもレプリカのW杯トロフィーも没収されていましたね。でも、ナタールの時には太鼓を持ち込んでいる人がいたり、日本人でも拡声器を持ち込んでいる人もいたり……。