ブラジルの寝技に屈す。美しき敗者コロンビア (3ページ目)
左のマルセロも同様に、攻撃参加を得意にするサイドバックだが、これまでは、D・アウベスにその機会を譲っていた。つまり、ブラジルの4バックは、3バック+1(D・アウベス)の状態にあった。そこに、攻撃参加の回数が平均的なマイコンが入った。両サイドバック2人と、両センターバック2人、さらには両ボランチ2人の関係は、これでバランスよく整った。
その4-2-3-1は事実上、両サイドバックと両ボランチがほぼ同じ高さで構える2-4-3-1になっていた。
それが安定感に繋がった。チアゴ・シウバの先制弾は、ブラジルに変化を確認した次の瞬間に生まれた。
だが、ブラジルはそれでもパスワークでコロンビアに劣った。ドリブルとフェイントが有効に入り、相手の逆を取りながら攻撃するコロンビアのような真似ができない。早い話、駒の質で劣っていた。そこでブラジルが取ったのは、プレイを連続させない作戦だった。接触プレイに持ち込み、ファウルを取ったり取られたりする関係だ。
この試合のレベルは恐ろしく高かったが、難を言えばその作戦だった。ファウルが多く、いいプレイが連続しなかったのだ。それがコロンビアに不利に作用していたことは明らかだった。
「ぶつ切り作戦」。少なくとも前半、これにコロンビアも乗ってしまった。乗せられてしまった。お付き合いしてしまった。コロンビアの敗因を挙げるとすればこれになる。ブラジルの乱暴な将棋にまともに向き合ってしまった。それこそがルイス・フェリペ・スコラーリの狙い。そう言っていいのかもしれない。
どちらのサッカーが面白かったかといえば断然コロンビアだ。「美しかったチームは?」「また見たいチームは?」と聞かれてもコロンビアになる。開催国であり優勝候補の本命であるブラジルに敗れはしたけれど、それを遙かに上回る好印象を与えたコロンビア。これ以上の敗者はそういない。W杯は「負け方を競うコンテスト」とは僕の持論だが、それに照らせば、コロンビアは今のところナンバーワンになる。
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