アルゼンチン優勝のカギは「砂漠の中の水」次第

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 グループリーグでは、低調ながら格下相手に自らゴールを決めて、「やっぱりメッシ」と周囲に言わしめた。決勝トーナメント1回戦のスイス戦では、これまたエンジンがかからないまま延長戦に突入するも、PK戦の一歩手前でMFアンヘル・ディ・マリアの決勝ゴールをお膳立て。「結局、試合を決めるのはメッシ」と、批判する世間を黙らせた。

相手DFのしつこいマークで何度もピッチに倒されたリオネル・メッシ相手DFのしつこいマークで何度もピッチに倒されたリオネル・メッシ 果たして、ブラジリアで行なわれる準々決勝アルゼンチン対ベルギー戦で、リオネル・メッシはどんなパフォーマンスを見せるのか? これまでの4試合と同じように、ほとんど走らず、必要最低限のエネルギーだけを使って勝利を手にするのか? 当然ながらこの試合の注目は、アルゼンチンの10番だった。

 そして、結論から言えば、この試合のメッシはこれまでとはちょっと違っていた。過去4試合で使っていたエネルギーが30〜40%だとすれば、この試合では60〜70%は使っていた印象だ。前半開始からスプリントの回数も多く、積極的にボールに絡もうとしていた。いよいよメッシもファイナルに向けてギアを入れ始めたかと、観る者に少なくない期待を抱かせた。

 同時にメッシが積極的に動くと、チーム全体の動きも活性化した。とりわけ、この試合における前半の約30分間は、これまでになくアルゼンチンはアグレッシブにプレイできていた。

 布陣は、スイス戦と同じ4−4−2。グループリーグでは、初戦のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で3バック、イラン戦とナイジェリア戦ではメッシをトップ下に置く中盤ダイヤモンド型の4−4−2と、なかなか布陣の定まらなかったアルゼンチンだが、どうやらアレハンドロ・サベーラ監督はメッシを2トップの一角に置く4−4−2を基本布陣にしたようだ。

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