「守備的MF」とは名ばかり。W杯を席巻するピッチ上の監督たち (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 ピルロ(イタリア代表/ユベントス)も、グアルディオラの「4番」論に叶った選手と言えるが、イタリアのサッカーそのものは、他の常連国に比べると守備的だ。守備的MFが守備に回る時間が長い。その決して高くない守備能力が、逆に露わになる皮肉なケースが目立つ。

 セリエAで新鮮に映るのはビダル(チリ代表/ユベントス)。確実でミスの少ない安定感が売りだ。「8番」系の選手だが、存在感は十分。チリの精神的な支柱だ。同僚のボグバ(フランス代表/ユベントス)は、身体能力が自慢。圧倒的なパワーでゴールを奪う力もある。フランス浮沈のカギを握っている選手と言っていい大型選手だ。

 ナポリに所属するスイス代表コンビ、ベーラミインレルは、センターハーフタイプ。派手さはないが、けれんみのないボールさばきと堅実な展開力が売り。相手をストップさせる能力にも長(た)けている。スイスの躍進を象徴する2人だ。

 ジョン・オビ・ミケル(ナイジェリア代表/チェルシー)、マスチェラーノ(アルゼンチン代表/バルセロナ)、ナイジェル・デ・ヨング(オランダ代表/ミラン)など、チームの柱となるお馴染みのメンバーも忘れることはできないが、僕の今回のW杯でのイチオシは、ベルギー代表のビッツェル(ゼニト)だ。

 このアフロヘヤーの大型選手が騒がれることはあまりない。ロシアでプレイしていることも名前が広がりにくい原因の一つだが、相手をストップする能力はピカイチ。展開力もある。ベルギーを現在の地位に押し上げた立役者と言っていい。大会後、彼を巡って欧州のビッグクラブが争奪戦を展開する可能性は大いにある。


欧州サッカーの旗手たち(1)~センターフォワード編

欧州サッカーの旗手たち(2)~サイドアタッカー編

欧州サッカーの旗手たち(3)~攻撃的ミッドフィルダー編

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