W杯で日本は止められるか。新タイプのトップ下プレイヤーたち (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 それがいまや、相手ボール時でも同じように優れたチームに見える。奪い返す術は飛躍的にアップした。FIFAランクはみるみる上昇。ベルギーとともに、ここ数年間で急成長を遂げた国として世界から認知されている。

 ファルカオが戻ってくれば、ハメス・ロドリゲスとの2枚看板を擁すことになるコロンビアは、優勝候補(ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、スペイン)に迫る存在になり得るだろう。

 もう一人、1トップ下を挙げるとすれば、ヤヤ・トゥーレ(コートジボワール代表/マンチェスター・シティ)になる。かつては守備的MFだった。前所属のバルセロナ時代は4番の選手だった。08~09シーズンのチャンピオンズリーグ決勝、対マンチェスター・ユナイテッド戦では、センターバックとしてプレイしたことも記憶に新しい。

 だがグアルディオラは、現役時代に自らがつけていた4番のポジションの後継者にブスケッツを抜擢。ヤヤ・トゥーレはマンCに移籍した。

 すると時の監督、マンチーニは彼の攻撃力を見抜いたのか、1トップ下にコンバート。これが彼のサッカー人生の転機になった。今季のプレミアでマークしたゴール数は20。得点ランキングで、スアレス、スターリッジ(ともにリバプール)に次ぐ第3位に入る破壊力を見せた。

 ゴールに向かう姿は、まさにブルドーザー。10番、司令塔、ゲームメーカー、ファンタジスタ等々、かつてのトップ下につけられた別名とはまったく異なるキャラクターを発揮し、マンCのリーグ優勝に大貢献した。

 W杯の初戦でコートジボワールと対戦する日本にとっては、困った存在だ。攻撃的な選手に大変身したヤヤ・トゥーレを、いったい誰がどのようにして止めるのか。コートジボワールは戦いやすい相手、という楽観的な声をよく耳にするが、少なくともヤヤ・トゥーレに関しては難題だ。彼は同時にディフェンス能力も図抜けて高い。総合的に見て、最も怖い1トップ下だと言える。

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