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マンUを変貌させたマタ。香川真司とココが違う (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 この先制シーンを演出したのはマタだった。中盤からロングボールで左サイドに展開したことが、左SBエブラ、そしてMFヤングへとつながった。特に目立ったパフォーマンスがあったわけではないのだが、長いボール一発で局面を打開する。明らかな意図を持ったパスを出し、それが得点に直結したあたりが、香川真司との違いだろうか。シュートにしてもパスにしても長い距離のものを選択することの少ない香川に比べ、マタのパスは良くも悪くも個の能力でサッカーをしていくマンUのスタイルには合っているのかもしれない。

 前半は味方からの配球が少なく孤立しがちだったマタも、後半になると中盤の深い位置で味方からのボールを引き出すようになった。後半14分の追加点は、左サイドのヤングの個人技で決まったものだが、そこにパスを出したのはまたしてもマタだった。ヤヌザイとの交代で退くと、本人は厳しい表情ではあったが、スタンドはスタンディングオベーションで見送った。

 試合後のマタは冷静だった。

「あと1,2点取れる試合だった。だがチームには勝利が必要だった。もちろん興奮する試合だったけれどね。チームがこのまま(目標であるチャンピオンズリーグ出場権獲得へ)行けるよう努力する」と浮かれたところがない。

 一方でモイーズ監督は「より良くプレイし、より良く勝っていきたい」という、これまでなかったコメントを残した。今季、試合内容に言及することなどほとんどなかったから、この日の勝利で得た手応えの大きさが分かる。

 試合前、BBC電子版はマタ移籍によるloserは香川だという記事を掲載した。ルーザー、つまり敗者だと断定するのはいささか失礼にも思えたが、指揮官の中でマタがファーストチョイスに上がったのは事実だろう。今後はルーニーが先発復帰する際、ルーニーとマタがどこでプレイするのかが議論になるのだろう。

 何を目標にどのようなプレイをしていけばいいのか。香川にとっては悩ましい戦いの始まりを告げる一戦となった。

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